デジタルマーケティング活動を推進するにあたり、マーケティングオートメーション(MA)をはじめとしたマーケティングツールを活用する企業が増えてきました。
業務を効率的に行うことができ、定量的な効果検証もスムーズに行うことができるマーケティングツールですが、ただ導入すれば良いというものではもちろんなく、あくまで「ツール」のため、それを扱う人がいなければ意味がありません。
実際多くの企業において、ツールを扱うスキルが不足しているため、成果につながるデジタルマーケティング活動ができていないのが実情でしょう。
本稿では、ツール活用のために必要な具体的な業務と、そのために求められるケイパビリティについて説明します。
目次
求められるケイパビリティ
まず、前提として「最適なデジタルマーケティング活動」とは何か、という点を明らかにしておきましょう。本稿においての定義は、下記2点を満たしていることです。
- マーケティング活動の結果が事業成長につながっている
- 現状分析、課題抽出、仮説立て、企画、施策実施、効果検証の(データに基づいた)PDCAサイクルが回っている
上記2点を満たすことができていれば、ツールの活用有無を問わず、おおむね問題はありません。では満たせていない場合は、どうすればいいのか。多くの場合、それは「リソース不足」が原因です。
最適なデジタルマーケティング活動を行うためには、工数だけでなく、担当者のスキルを含めて、多くのリソースを必要としています。
具体的に必要となるケイパビリティは、次の9つです。
- プロジェクトマネジメント
- データ設計・構築・抽出
- データ分析
- デジタルマーケティング
- CRO・CRMの知識
- プランニング
- デザイン
- コーディング
- ツール操作
それぞれ、必要となる理由と具体的な業務を紹介します。
プロジェクトマネジメント
企業におけるマーケティング活動を推進するため、社内外の関係者を巻き込み、スケジュール管理を含めた進行管理をする必要があります。また、解決すべき課題の特定や改善方針の決定、リソースをどこに投下するか等の判断も担います。
データ設計・構築・抽出
現状分析や、効果検証のために、必要な数値データを整理し、抽出する必要があります。また、レポートのための可視化なども必要な作業と言えるでしょう。
データ分析
抽出されたデータから、解消すべき課題を特定し、課題の優先度を明確にして、マーケティング活動の舵取りをする必要があります。
デジタルマーケティング
Webやアプリのマーケティング活動を行う場合、チャネルごとの特性理解はもちろん、広告やBIツールの知識、定石となる打ち手など、広い知識と情報収集能力が求められます。
CRO・CRMの知識
集客後のユーザーとのコミュニケーションを行うため、サイト改善やWeb接客、メルマガ、LINEを活用したマーケティングなど、専門的な知識が必要になります。
プランニング
マーケティング活動が独り歩きをしてしまわないため、会社の経営戦略から具体的なKPIに落とし込む必要があります。会社の予算的なものも加味しながら、現実的なマーケティング戦略を立てるスキルが求められます。
デザイン
メルマガやサイト改善施策、ポップアップなど、具体的な施策実施時には、その効果を最大限に高めるためのクリエイティブ制作が必要になります。
コーディング
ノーコードのマーケティングツールを活用するとしても、複雑な施策設定を行う場合には、最低限のコーディングが必要になります。
ツール操作
実施したい施策を行うためには、導入しているツールを正しく操作し設定することが前提条件となります。
理想的なマーケティングチームの体制
前述の通り、最適なデジタルマーケティング活動を行うために必要なケイパビリティは多岐にわたります。
もちろん、ケイパビリティによっては一人の人間が掛け持ちすることも可能です。しかし、すべてをたった一人の担当者で担うのは無理があります。最低でも4人体制、マルチチャネルでのデジタルマーケティング活動を行うのであれば6人は必要になるでしょう。
ここでは、デジタルマーケティング活動がうまくいっている企業で多く見られる体制図を紹介します。
こちらは、最低限の人数でデジタルマーケティング活動を推進するときに多く見られる体制です。広くマーケティングの知見を持つマーケターが全体PMとして立ち、専門スキルを持ったメンバーがチームに所属している体制です。
もし、アプリやWebなど複数のチャネルでサービスを展開している場合、チャネルごとに責任を持つ担当者を配置するのが良いでしょう。
もちろん、最初からこのような理想的な体制を築ける会社はほとんどありません。体制構築のためには、人材の採用や教育は不可欠となるでしょう。場合によっては、業務を切り出して外部の支援会社にアウトソースすることも検討する必要があります。
もし自社のデジタルマーケティング活動がうまくいっていない場合は、ツール選定や施策立案などの前に、こうした「体制の問題」から見直してみても良いかもしれません。