Case

2024.12.11

WOWOWの顧客コミュニケーション基盤刷新とその後の運用を支援

1991年、日本初の民間衛星放送局として有料放送事業を開始したWOWOW。同社では今、「映像メディア業からコンテンツ・コミュニティ業」への変革を目指し、様々なサービスを提供しています。

そうした中、点在していた各種ツールの課題解決のため、顧客コミュニケーション基盤を刷新。Bizsmithは、そのツール移行、及び移行後の運用支援を担当しました。

今回は、プロジェクトを担当した株式会社WOWOWマーケティング局カスタマーリレーション部の所亜紀さまに、その取り組み内容についてお話を伺いました。

複数のコミュニケーションツールを活用することの弊害

株式会社WOWOW マーケティング局 カスタマーリレーション部 チーフ 所亜紀さま

ーーはじめに、顧客コミュニケーション基盤刷新プロジェクトが始動した経緯について伺えますでしょうか。

所:弊社は衛星基幹放送事業者として、当初は「放送」の事業にフォーカスしたメールでのコミュニケーションを主としていました。その後オンデマンドサービスが立ち上がると、新たにアプリユーザー向けのコミュニケーションが必要になり、リアルタイムにアンケートを取りたいというニーズも出てきました。

結果として、アプリマーケはこのツール、レコメンドはこのツール、アンケートはこのツール……と、チャネルごとに複数のツールを活用する体制になってしまったんです。こうした体制によって、コスト、データ利活用、施策精度という3つの面で課題が生じていました。

ーーデータ利活用、施策精度の問題というのは、具体的にどのようなものでしょうか?

所:これは弊社だけではなく社会全体の流れかと思いますが、社内データを整備して活用していくのは重要な経営課題になっています。しかし、ツールが点在していると、データの一元化が難しく、場合によっては解決できない問題も生じてしまいます。

そして、データ整理やデータ活用ができないと、それぞれの施策の精度も上げていくことが難しくなります。

例えば、あるチャネルでの施策結果に応じて、別のチャネルで施策を実施しようとしても、それぞれのツールで取れているデータが異なり、うまく連携できなかったりしますよね。あるいは、「おすすめコンテンツの提案」などのパーソナライズ化を推し進めるうえでも、データの繋ぎ込みにかなりの手間が生じてしまいます。

こうした課題を解決するため、顧客コミュニケーション基盤の刷新を進めることになりました。

ーーでは、そうした課題解決のためのプロジェクトで、Bizsmithにお声がけいただくことになった経緯について伺えますでしょうか。

所:プロジェクトとしては「どのコミュニケーションツール(プロダクト)を導入するか」という検討からスタートしました。そして、実際にツールベンダーの担当者と、機能やコスト、支援領域などの話をしている際に、導入後の運用の話になったんです。

コストについては、ツール利用費だけでなく、運用体制の最適化も社内課題となっていたため、ツール導入と合わせて運用パートナーと連携した全体支援のご提案をいただいた流れで、Bizsmithさんをご紹介いただきました。

様々な検討の結果、株式会社プレイドが提供している「KARTE」を導入することになり、スムーズな移行と運用立ち上げの実現のため、Bizsmithさんとプロジェクトをご一緒することになりました。

複数の関係者で推し進める「顧客コミュニケーション基盤刷新プロジェクト」

ーーでは実際の顧客コミュニケーション基盤刷新プロジェクト内容について、どのような流れで進めてきたのか教えていただけますでしょうか。

所:ざっくりとした流れとしては、まずプロダクトの導入検討フェーズがあり、プロダクトを決定した後にPoCを行い、本導入及び本開発を行いました。開発フェーズでは、タグ設置やデータ取得の仕様検討、施策移行のための施策再定義や要件定義などを実施しました。

スケジュールで言うと、PoCが昨年9月から11月頃、それから本開発が始まって、今年2月に本番環境がリリース、ツール内部データ構築を行い4月から本稼働という流れです。

Bizsmithさんには、PoCの検証設計からPoCの実施。本開発においては、新しく導入するツールのイベント実装やデータ設計から、前ツールで実施していた施策の移行などをご担当いただきました。

ーー本プロジェクトにおいて困難だった点について教えて下さい。

所:プロジェクトに関わる会社や人がとても多かったので、認識合わせに苦労しました。

自社およびグループ会社のエンジニアと施策実装者、ツールベンダーの担当者、外部の開発会社、そしてBizsmithさん。それぞれが各々の役割を担い、分担して業務を行っていたので、短納期の中でスピーディにコミュニケーションを取りながら進めていくのは難しかったですね。

あとは、このプロジェクトとは別に、顧客情報を管理する基盤のリプレイスが同タイミングで走っていたので、そちらと足並みを揃えながらデータの繋ぎ込みをする必要があったり……。

こういう大変な時期に、Bizsmithさんから、過去の経験を踏まえたアドバイスを頂けたのはとても助かりました。これまでツール運用はグループ内で完結しており、外の知見を入れられてこなかったので。

例えば、こうした大規模な移行プロジェクトでは、どうしても諦めなければならないような点も出てきます。そうしたときに、どこで折り合いをつけるべきか、どのような代替案があるか、などいろいろと助言をいただけました。

ーーありがとうございます。ツール移行が完了し、現在は日々のツール運用もご支援させていただいておりますが、その内容についても伺えますでしょうか。

所:これまでは弊社のグループ会社が担当していた部分を、Bizsmithさんにも入っていただき役割分担をしてご支援いただいています。主に、ユーザー行動を元にした定常施策の設計・実装をご担当いただいていて、メール配信はもちろん、アプリのプッシュやWeb接客などデジタル上のコミュニケーションを対応していただいています。

弊社内では「シナリオ施策」と呼んでいるのですが、こうした施策は一度作ってしまえばある程度の期間ずっと使い回すことができてしまうので、これまではあまり改善サイクルを回せていませんでした。

ですが、Bizsmithさんにご支援いただいてからは、分析ツールを活用しながら施策をひとつひとつ検証して、成果を見たうえで適宜リニューアルしたり優先順位を変更したりできているので、そこは大きな変化だと感じています。ここについては現在も試行錯誤しながら、さらに効果的な施策を模索し続けているところです。

“こちら側”に立ってくれる安心感

ーー顧客コミュニケーション基盤刷新プロジェクト、そして現在も継続中のツール運用について、Bizsmithの支援に関してのご感想をお聞かせいただけますか。

所:まず実務的なところで言うと、やはりプロダクトを理解しているなと強く感じます。そうした知見を踏まえて、これまでに実施してきた施策のうち、どれが効果的でどれが効果的でないのか、どうすればより効率を上げられるのかといったアドバイスをいただき、助けられました。

あと、一緒にお仕事をしていて感じたのは、本当にレスが早いですよね。ちょっと気になることがあって質問しても、すぐに回答してもらえて解決する。これは、短納期の今回のようなプロジェクトでは重要なポイントでした。

ーーそう言っていただけて光栄です。

所:最後に、これは少し感覚的なものですが、ずっと「身内感」のようなものを感じていました。

やっぱり会社によっては、なんと言うか、ビジネスライクな感じの人も多くいると感じることがありますが、Bizsmithさんは「WOWOWさんの視点だとこうだと思います」っていう意見が多くて、同じ方向を向いてプロジェクトを進めてくれているんですよね。そういうのが弊社の文化というか雰囲気にもフィットしていたと思います。

おそらく、ツール移行や日々の運用を通してBizsmithさんにも弊社の社内実情が見えてきているかと思うので、今後は「この連携方法のほうがデータ活用しやすい」「工数削減に向けてこんな機能の活用や体制も有効」みたいなもう1歩進んだご提案をいただけると嬉しいなと思っています。これからもよろしくお願いいたします。

左から、合同会社Bizsmith 三角龍之介、合同会社Bizsmith 森亮太、株式会社WOWOW 所亜紀さま

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