Case

2025.11.07

三菱地所「ロイヤルパークホテルズ」のザ クラブ会員登録者数増加プロジェクト

三菱地所グループが運営するホテルブランド「ロイヤルパークホテルズ」。全国に23のホテルを展開し多様な顧客体験を提供する同ブランドでは、三菱地所DX推進部との協業のもと、データを活用したマーケティング推進を行っています。

今回は、Bizsmithがご一緒させていただいた、同ブランドの会員プログラム「ザ クラブ・ロイヤルパークホテルズ」登録者数増加プロジェクトについて、三菱地所株式会社 DX推進部マネージャーの岩谷隆至さまにお話を伺いました。

課題は会員登録途中の「離脱率の高さ」

――まずは岩谷さまのご担当領域について教えてください。

岩谷:私は三菱地所株式会社DX推進部で協業・変革支援ユニットのマネージャーを務めており、「ロイヤルパークホテルズ」を運営する三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社にはブランドマーケティング部に兼務出向というかたちで関わっています。

三菱地所ホテルズ&リゾーツ社には、データ分析などをはじめとしたマーケティング領域のスペシャリストが在籍していないため、DX推進部が支援という形で入ることになりました。

三菱地所株式会社 DX推進部 協業・変革支援ユニット マネージャー 岩谷隆至さま

――具体的にはどのようなゴールを目指して支援を進めていたのでしょうか。

岩谷:ロイヤルパークホテルズでは、全国のホテルやレストランで利用できる会員プログラム「ザ クラブ・ロイヤルパークホテルズ」を運営しています。プロジェクト開始当時のKPIはその会員数の増加でした。

分析を通して見えてきたのは、登録途中での離脱率の高さです。同会員プログラムの登録には、三菱地所グループのサービスを利用できるデジタル共通ID「Machi Pass」が必要になります。つまり、「Machi Pass」をお持ちでないお客さまにとっては、2段階の登録が必要になっているんです。その他にも、規約への同意なども含めると、登録までのステップが非常に多いという課題がありました。

当時そうした課題に対して特に具体的な策が講じられていなかったので、DX推進部が中心となって解決のためのプロジェクトが始動したんです。

――弊社Bizsmithにお声がけいただいた理由についても伺えますでしょうか。

岩谷:三菱地所グループでは、マーケティングツール「KARTE」の活用を推進しており、ロイヤルパークホテルズでも各ホテルでKARTEを導入していました。まずはこのツールを活用して課題解決に取り組もうということになったんです。

Bizsmithさんには他のプロジェクトでKARTEを活用したマーケティングの支援をしていただいていたこともあり、今回のプロジェクトでもご相談させていただきました。

標準機能を超えたKARTEによるABテスト

――具体的にどのような取り組みを行ったのか教えていただけますか。

岩谷:先程もお伝えした通り、会員数増加を阻害している大きな原因はフォームでの高い離脱率でした。ですので、同プロジェクトにおいてはフォームの最適化を最優先で取り組みました。

いくつかの施策を実施しましたが、印象に残っているのは規約ページの改善です。「ザ クラブ・ロイヤルパークホテルズ」の登録ページでは、登録にあたり長文の規約をすべて読んでいただいたうえで「同意する」というチェックボタンをクリックしないと、次のページに進むボタンが表示されないという仕様になっていました。

カスタマーサクセス部門である会員事務局の対応負荷を下げるためにも、この規約文を単純に短くすることはできないという制約があり、「読ませる仕組み」と「離脱を防ぐ仕組み」を両立する方法を考える必要があったんです。

――そういった制約があるなかで、どのように解決したのでしょうか。

岩谷:最終的に実施したのは、チェックボックスを廃止し、ボタンの文言に「同意のうえ登録する」という要素を組み込むというシンプルな改善でした。ユーザーがページを最後までスクロールすると、初めてボタンがクリック可能になる仕様にし、ボタンを押す行為自体が同意とみなされるようにしました。この変更だけで、登録完了率は約120%改善したんです。チェックボックスをひとつ外すだけでこれほど変わるのか、と驚きましたね。

何より特徴的だったのは、施策の「成果」ではなく「方法」です。

――確かに、少しイレギュラーな方法でしたね。

岩谷:通常であればWebサイトの改修には、社内のWeb担当者を巻き込みながら、デザインの調整をはじめとした複数のプロセスが必要になります。しかし、今回はKARTEを活用し、現行ページの要素を部分的に変更したB案を作成することで、ユーザーごとに要素を出し分けるABテストを実施しました。これにより、社内調整を待たずに素早く検証を重ねることができ、施策ごとの検証スピードが格段に向上しました。

ツールの機能を熟知したうえで課題解決に最適な方法を柔軟に設計してくれた点はとても助かりました。

納期、品質、コミュニケーションに安心感

――約半年間のプロジェクトでしたが、成果としてはいかがでしたか?

岩谷:当初は3ヶ月間の支援をお願いしていたんですが、改善効果が出ていたので延長させていただいたんですよね。今回のプロジェクトでは、規約ページの改善だけでなく、ホテルの予約ページに会員登録のメリットを打ち出すメッセージを吹き出しで表示したり、入力フォームに自動変換スクリプトを導入してユーザーが入力する負担を減らしたりとさまざまな施策を実施しましたが、ほぼすべての施策で数値的にも改善が確認できました。

――最後に、今回のプロジェクトを振り返って、Bizsmithの支援内容についてご意見をいただけますでしょうか。

岩谷:もともとBizsmithさんには他のプロジェクトでご支援いただいていたので、技術的な部分を含めて品質面では不安はありませんでした。今回のプロジェクトでも、納期をしっかり守っていただいたうえで、表示崩れや遷移ミスといったトラブルも一切ありませんでしたし、コミュニケーションもスムーズでした。立場上、DX推進部としてホテルを支援する側でもあるので、Bizsmithさんのように安心して任せられるパートナーの存在は大きいですね。これからも引き続き、よろしくお願いします。

岩谷 隆至さま(右)。Bizsmith 高井 大一(左)

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