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2025.01.20

マーケティングツール(MAツール)活用のための7つのポイント

どれほど優れたマーケティングツール(MAツール)を導入していても、正しく運用できていなければ成果にはつながりません。正しい運用をするためには、押さえておくべき基本的なポイントがあります。

本稿ではマーケティングツールの運用にあたって、最低限必要なポイントをチェックリストにし、それぞれの項目について解説します。

※本テーマについては動画でも詳しく解説しています。

マーケティングツールとは?

本稿におけるマーケティングツールの定義とは「デジタルマーケティング活動の際に利用されるツール」です。具体的にはマーケティング・オートメーション(MA)や、マーケティング領域のSaaS(MarTech/マーテック)を指します。

また「主にtoCサービスで活用されるツール」であることも本稿における定義の一つです。代表的なツールとして「KARTE」「Repro」「braze」「Salesforce marketing cloud」などが挙げられます。

なぜチェックリストが必要なのか?

マーケティングツールは、成果を生み出す魔法の杖ではなく、目的のアクションを実行するための道具です。したがってマーケティングツールを導入するだけでは何の成果も出ません。成果を出すためには「自社に適したツール」と「最適な運用」が必要になります。

最適な運用ができているかどうかは、客観的に見ないとわかりにくいもの。そこで本稿で紹介するチェックリストを活用し、成果を出すためのツール運用ができているかを評価してみてください。

MAツール活用のための7つのチェック項目

1. サービスの課題を把握できている

2. 課題解決のための仮説を立てられている

3. 仮説検証のための設計ができている

4. ユーザーファーストの施策を企画できている

5. 施策の検証設計ができている

6. 効果検証を実施できている

7. 施策のPDCAを定常的に回せている

以上の7項目がMAツールを活用するためのチェックリストです。一つずつ解説していきます。

1.サービスの課題を把握できている

一つ目は課題を把握できているかです。ここで言う課題とは「売上が低い」といった抽象的なものではなく「リテンション率が低いことでMAUが下がっている」「一定ページの離脱率が高く、CVRが伸びていない」「F2への転換率が低くてLTVが伸びていない」といった具体的な課題の把握を指します。

「課題がよくわかっていない」「解像度が甘い」という場合には、基幹データやアクセス解析ツールを使って分析を行い、定量的な課題として把握することが重要です。

また課題はフェーズごとに変化するので、一度の分析で終わりにするのではなく、継続的に課題抽出をすることが求められます。

2.課題解決のための仮説を立てられている

二つ目は課題に対して仮説を立てられているかどうかです。課題に対する仮説には「なぜ課題が発生しているのかを考える」と「課題を解消するための方法を考える」の二つがあります。

仮説を立てるポイントは「顧客ターゲットになりきった妄想力」です。「なぜこのような事象が起きているのか」「何が足りていないのか」といったことを、定量的に把握した課題から膨らませて考えていきます。

3.仮説検証のための設計ができている

三つ目はイベント設計ができているかどうかです。最適なタイミングで施策を実施するにはイベントの活用が欠かせません。例えば「任意のスクロールタイミングで施策を展開する」「会員ステータスごとに施策を分ける」といったイベントを実現するには、事前の設計が重要となります。

また検証に使うデータ取得にもイベントは必要です。検証したい指標のデータが取得できないと、そもそもの目的に対して打った施策の効果が測定できません。改めて現在取得できているデータ、不足しているデータを整理し、データ取得に必要なイベントを設計しましょう。

4.ユーザーファーストの施策を企画できている

四つ目はユーザー目線を意識した施策を企画できているかどうかです。特に「ユーザーにとって嫌なコミュニケーション」をしていないかチェックしてください。

「嫌なコミュニケーション」とは、例えば買い物をしようとECサイトに訪問した瞬間に、興味のない新商品が大きなポップアップで表示される、といったものです。施策を効かせるにあたって重要なのは「自分がこの施策を受けたときにアクションしたくなるか」「嫌悪感を抱かないか」といった観点。

上記の例を実店舗に当てはめると、来店してすぐに店員が興味のない商品を持ってきて「この商品はいかがですか」と勧められるようなものです。「自分がされたらどう思うか」をしっかりと考えることが施策の企画には求められます。

良い施策には、ユーザーが受け取って嫌にならないという前提条件と、狙った行動を促進できるユーザーインサイトの把握が重要です。そのためには「いつ」「どこで」「誰に」「何を」送るのかをしっかりと整理する必要があります。

5.施策の検証設計ができている

五つ目は施策の検証設計ができているかどうかです。検証設計とは以下の5項目を事前に整理することを指します。

1. 検証目的

2. 検証指標の設定

3. 検証用のイベント・データ設計の整備

4. 検証パターンの選定

5. 検証期間の選定

施策に対してこれらの項目を明確にしておかないと、施策を打った後に「これは何のためにやったのか」「どのデータで評価するのか」「そもそもデータがあるのか」という状態に陥ってしまいます。検証設計は施策の実施前に必ず整理しておくようにしましょう。

6.効果検証を実施できている

六つ目は効果検証ができているかです。効果検証のポイントは以下の3つにまとめられます。

1. 打った施策の成果を把握できる

2. 顧客の理解が深まる

3. 継続的な改善に活かせる

どれほど素晴らしい施策を打っても、効果検証をしなければ意味がありません。もし効果検証を行っていないのであれば、早急な改善が必要です。

7.施策のPDCAを定常的に回せている

七つ目は施策のPDCAを定常的に回せているか否かです。施策は効果検証をして終わりではありません。施策を打ち、効果検証をし、次に何をするかを考えて改善するPDCAサイクルを回し続けることが求められます。

効果検証で得た知見や仮説から、訴求軸やクリエイティブ、セグメントを変更してみたり、他のカテゴリーに展開してみたりと、次のアクションを打つことができます。また施策は1サイクルで終わらせるのではなく、定常的に改善のアクションを打てる状態にしておくことが重要です。

チェックがつかない項目があれば運用の見直しが必要

マーケティングツールを効果的に活用し、成果につなげるためには、単にツールを導入するだけでなく、事前の計画と継続的な改善が不可欠です。

本稿で解説したチェック項目を意識し、最適なツール運用をすることで、マーケティング活動の効率化と成果向上を実現することができます。

七つのチェック項目のうち、一つでもできていない項目があれば現在の運用に問題があると言えます。すぐに運用方法の改善を検討してみてください。

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