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2024.10.08

アプリマーケティングの基礎。リテンションレートを改善するには

「アプリ」と「Webサイト」の違いについて、本質的に理解できていますか。

サービス企画や開発の担当者であればもちろん理解していると思いますが、マーケターもそれらの違いについて理解しておく必要があります。

なぜなら、アプリとWebではそれぞれに違いがあり、それぞれの特性を把握したうえでマーケティングプランを立てる必要があるからです。

本稿では、両者の違いについて紹介したうえで、アプリマーケティングにおいて重要な「リテンションレート」の改善方法について解説します。

「アプリ」と「Webサイト」の違い

ここではマーケティング活動をするうえで重要かどうかという観点で、「アプリ」と「Webサイト」の違いについて紹介します。

2つの違いとして最も大きいのは、インストールの必要性があるかどうか。

アプリはその特性上、利用するためにはまずデバイスにインストールする必要があります。そのため、新規流入はアプリストア経由に限定されてしまいます。

一方、Webサイトはブラウザを介して、インストールすることなくアクセスすることが可能。流入経路としては、自然検索や広告、メール経由などがあります。

こうしたそれぞれの特性を考慮すると、アプリとWebサイトのそれぞれで最適なマーケティングプランは自ずと違ってきます。

アプリの場合、利用習慣を持ってもらう必要があるため、既存のユーザーに継続的、そして活動的に利用してもらうことが重要。一方でWebサイトの場合は、デバイスやユーザー種別、ユーザーの目的にあわせて、多角的なUI/UXを設計するのが重要となります。

それぞれで設定すべきKPIはこのようになるでしょう。

アプリ

  • CVR
  • MAU
  • リテンションレート

Webサイト

  • CVR
  • 離脱率 / 遷移率
  • PV / セッション数

※MAU:Monthly Active Userの略。1ヶ月間にアプリやサービスを利用したユニークユーザーの数。
※リテンションレート:一定期間においてサービスを再利用したユーザーの割合を示した数値。

Webサイトの場合は、CVとして設定したゴール(例:お問合せ、資料請求など)に誘導することが重要であるのに対し、アプリではどれだけ多くの人に継続して利用してもらうかが重要です。

リテンションレート改善の方法

アプリマーケティングにおいて、リテンションレート(継続率)が重要であることを説明しましたが、どのようにして対策すればいいのでしょうか。

その近道になるのは、マジックナンバー分析です。

マジックナンバー分析とは、サービス成長に寄与する重要なファクターを特定するための分析手法。ユーザーがどのような行動を何回行ったときに継続率が高くなるのか、というのを特定する分析です。

マジックナンバー分析の結果として高い成果を出した事例としては、「X(旧Twitter)」が有名です。

Xでは、マジックナンバー分析の結果、登録初日に5人以上のアカウントをフォローしたユーザーの継続率が高いことが判明しました。この「5人」というのがマジックナンバーであり、継続率が大きく変わる重要な数値なのです。

Xではこの結果をもとに、初回登録時におすすめのアカウントをレコメンドし、5人以上のフォローを必須にする施策を実施。結果として、ユーザーのリテンション率が向上し、急成長するきっかけになったと言われています。

実際、マジックナンバー分析の結果は、下のようなグラフで表すことが多いです。(実際には、さらに利用回数などの関数も追加した分析を行うのが良いですが、今回はわかりやすく機能単体での違いにフォーカスしています)

ユーザー数とリテンションレートの関係(横軸はユーザー数、縦軸はリテンション率)

このグラフを見ると、Bの機能は利用しているユーザーが多いものの、この機能がリテンションレートに及ぼす影響はそこまで大きくありません。一方、DやEの機能は、現状利用しているユーザーが少ないものの、利用したユーザーは高い割合で継続していることがわかります。

このように「利用ユーザーが少なくリテンションレートが高い機能」の利用を促進することで、効果的にリテンションレートを改善することができます。

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