企業においてデジタルマーケティングを行う場合、「分析」は避けては通れない業務です。
マーケティング活動における方針、戦略、具体的なアクションを決めるためにも必要ですし、自社の課題を特定するためにも、課題解決のための仮説を検証するためにも「分析」をする必要があります。
本稿では、分析業務の正しい進め方(ステップ)について解説します。
2つの分析アプローチ
分析業務と一言で言っても、実際にはさまざまな種類が存在します。ここでは、その目的にフォーカスして大きく2つの分析アプローチについて紹介しましょう。
仮説探索型分析
仮説探索型分析とは、自社サービスの課題が何で(課題の明確化)、どこにボトルネックがあり(課題の細分化・優先度付け)、どのようにして解決することができるか(解決策立案)、という「仮説」を立てるための分析アプローチです。
課題の明確化とは、「売上が伸び悩んでいる」「問い合わせ数が少ない」といった概括的な課題から、より具体的で解像度の高い課題に落とし込む作業です。この工程を踏まなければ、そもそもマーケティング活動によって解決すべきゴールが明確化されません。
課題の細分化・優先度付けは、課題を整理し、よりインパクトの大きい課題に注力するために必要な工程です。この工程については、別の記事で詳細の解説をしているのでぜひご覧ください。
解決策立案は、言葉の通り、解決すべき課題の解決のためにどのような打ち手が有効かを考え、具体的なアクションを決める作業です。
これら3つの作業を、感覚ではなく、データドリブンに推し進めるために必要なのが「仮説探索型分析」なのです。この分析では、自社担当者が感覚的に把握している課題だけでなく、気づいていない課題まで見つけてくる必要があるため、多面的に行う必要があり、より多くの工数とエネルギーを必要とします。
仮説検証型分析
仮説検証型分析は、仮説探索型分析によって導き出された「仮説」を検証するための分析です。
その仮説は正しかったのか。正しかったのであれば、より良い施策は考えられないか。正しくなかったのであれば、どの部分が間違っていたのか。仮説を検証することで、さらに精度の高い仮説を立てることができるのです。
分析の正しいステップ
適切な分析を行うには、適切な分析ステップを踏む必要があります。以下が、一般的な分析の正しいステップです。
- 目的の明確化
- 分析設計
- データ集計
- データ解釈
- アクションの決定
それぞれ詳細について説明していきます。
目的の明確化
まずは分析をする目的を明確にする必要があります。当然と言えば当然ですが、「出せそうなデータをきれいに揃えること」を分析だと考えている人も少なくありません。
今回の分析が、何を目的としたものなのか、きちんとプロジェクトメンバー全員で共通認識を持った上で分析業務を進めるようにしてください。
(例)売上悪化につながっているKPIを明らかにする
分析設計
分析の目的が決まれば、次は「その目的を達成するためにどのようなデータが必要なのか」を決めます。
集計期間やデータソース、セグメントなどの項目はもちろん、出されたデータが良いのか悪いのかを判断するための比較データについても事前に確認しておくのが良いでしょう。
こうして必要なデータを整理した結果、そのデータが現時点で収集不可能なものであれば、データとして収集できる準備をしておく必要があります。具体的には、特定の行動データを計測するためのイベント作成や、特定のデータを抽出するためのクエリ作成などです。
こうした手順をとることによって、むやみに膨大なデータを抽出し整理しなくても、分析目的達成のために必要な最低限のデータ量で分析をすることができるようになります。
データ集計
分析設計で整理されたデータを抜き出し、整える作業。設計と準備ができていればそこまで時間がかからない作業のため、スピーディに行いましょう。
データ解釈、アクションの決定
データ分析で最も重要なのはこの工程。分析担当者の腕の見せ所と言ってもいいでしょう。データを見て現状を把握するだけでなく、「なぜその結果になったのか」という理由を考え、マーケティングアクションを決定する作業です。
ここはある程度経験も重要となってきますが、前述した通り、仮説を立てて検証する過程を繰り返すことで結果的には少しずつでも前進していくことができます。
つまり、重要なことは、これらの正しいステップを「繰り返すこと」です。
マーケティング活動には終わりはありません。何かの課題が解決しても、他の課題が出てきます。むしろ、他の課題を見つけることもマーケターの仕事にあたるでしょう。
常に課題を見つけ、仮説を立て、検証し、次のアクションを決めるというサイクルを回し続けることが、最も重要なポイントなのです。